Office Tina ~ Le Vent ~

真実を知る勇気とは、現実をしっかり見つめるということ。 それが自分を信じる力になっていきます。 身近にある愛すべき美しいモノたちと共に、鎌倉に吹く風を感じながら日々のことを綴っています。 L'amour est comme le vent, nous ne savons pas d'ou il vient.

タグ:気仙沼大島



ずっと気になっていた映画があります。
「生きる街」
東日本大震災から5年たった石巻を描いた映画です。

ファンである夏木マリさんが
10年ぶりに主演をOKした映画ということもあって
観たいという気持ちはあったのですが
なかなかビデオを回すことが出来ずにいました。
理由は、やはり、思いだすと辛いものが私なりにあったからです。
やっと、この4連休に見終えることができました。

私自身、石巻には行きませんでしたが
震災後、気仙沼を訪れた私は
ビデオの開始直後から映像の中に引き込まれていきました。

私が行った時には、まだがれきが散乱している状態でしたが
がれきが綺麗に片づけられているだけで、
震災にあった町は、まだまだ復興の途中です。
ほんとうにゆっくりと人々のこころを癒すように生きているのだと感じました。

劇中、夏木マリが聞いているラジオから流れてくる
鳴き砂で有名な十八鳴浜の鳴き砂の音と波の音がありました。
震災後、「まだ聞こえる場所がある」と、宿の人に聞いて
倒れた木々を押しのけて十八鳴浜まで向かった日のことを想いだしました。
歩くと、きゅっきゅっと砂が鳴くのです。


今では防波堤で囲まれてしまっているそうです。
映像の中のひとつひとつの風景が思い出させてくれるものが
わたしのこころの中で浮き上がってきました。


震災に遭われた方達のこころの声をひとりひとり聞いて歩いたあの日
今振り返ると、あの時、たったひとりでよく現地へむかったものだと思うのです。

電車は通っていなくて、ほぼ、海岸線をすべて徒歩で何時間も歩きました。

私の中の何がそうさせたのかわかりませんが
訪ねた場所でたくさんの方から温かい声をかけていただきました。

カラーセラピーが役にたったのもこの時でした。

子を思う母の色・マリアブルーのエプロンを付けたその人は
最愛の息子さんを津波で亡くされていました。
まだ18歳・・・
消防団として最後までビルに残り、亡くなられたそうです。
始めて会ったわたしにその悲しみを打ち明けてくださったのです。
「また必ず来てくださいね。」

この映画を観て、改めてその声をまた思い出しています。



Office Tina

真山ヒロ(ティナ)

❦こころのコーディネーター
・life designer
・color coordinator&therapist
・aroma therapist
【著書】




あれから9年・・・・
今日は、終日予定が入っていたので
午前中、手を合わせ黙祷しました。


目をとじると、震災後に訪れた気仙沼の風景が目に浮かびます。
その時、撮影した写真は、全て失ってしまったのですが
目を閉じるといつもあの景色が脳裏に浮かぶのです。

今、振り返っても、よく一人で出かけたと思います。
行く先々でお話を聞くことしかできませんでしたが
その後、ご縁から気仙沼大島椿油を復興支援として取り扱うことになりました。
NPO法人の解散と共に、寄付というカタチでの支援は終わったのですが
その振込み日が、毎年、3月11日でした。
NPO法人は解散しましたが、Office Tinaでは
今も、復興支援の一環として気仙沼大島椿油の購入を続けています。

椿の花は、今どのくらい咲いているのでしょうか・・・

わが家には、TVがありません。

あの日、電車も通らない震災後の町を
実際に自分の足で歩いて
自分の目で見て
自分の耳で聞いたこと
それは、わたしのその後の生き方を変えました。

情報をどうキャッチするか
真実をどう見極めるか

「生きる」
残された者が、「今」どう生きるのか
毎年この日に改めて向き合うことで見えてくるものがあります。




2020.03.11
ティナ

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