サイフォンで珈琲が落ちるのを待つ時間が好きでした。
ゆらゆらと揺れるアルコールランプの炎
ガラスの向こう側が陽炎のように揺れて
その日の自分の思いにも似て、それらが揺れ動く時間は
わたしにとって、とても大切な時間でした。


お気に入りの本をゆっくりと開いたり
静かな曲をBGMにすることが多かったのですが
時には、Paganiniの激しいバイオリンをBGMにしたりしながら
珈琲が落ちるのを待つこともありました。
それは、その時の自分を振り返る時間でもありました。


父に教えてもらった珈琲との時間はとても貴重で
そんなふうに過ごしていたのですが
今回の片付けで、サイフォンともお別れをしました!


理由は、キッチン回りをすっきりとしたかったことと
体調を考えて、珈琲は一日一杯までと決めたので
朝の一杯は行きつけのカフェスタンドで、飲むからです。


美しいガラスの曲線を描いたこの古いサイフォンは
もうすでに製造中止になっていて
捨てるには忍びなく
思い切って声をかけたら、大喜びでもらってくれたのは
珈琲好きのスタッフNでした♡



「Nさんのお部屋で可愛がってもらうのよ」と
サイフォンに声をかけて、先日さよならをしました。



こころの中に、しっかりと想い出として刻まれたわたしのサイフォンは
あの日からNさんのサイフォンになりました♡







Office Tina

真山ヒロ(ティナ)

❦こころのコーディネーター
・life designer
・Life consultant
・color coordinator&therapist
・aroma therapist


風のことば―その向こうへ―
真山ヒロ
ギャラクシーブックス
2019-06-17