FullSizeRender
今年の夏休みは8日間ほどいただいたのですが
珍しく仕事は一切しませんでした。


これは、おそらく初めてのこと。

積読の本も読みたかったし
仕事以外のことに気持ちを向け
意図的に過ごそうと思う気持ちが大きかったからかもしれません。



そんな中で2冊の本を読み終えた。

1冊は、2021年上半期直木賞受賞作となった「星落ちて、なお」
澤田瞳子さんの作品。

河鍋暁斎の娘、暁翠を描いた作品だが、
言葉の美しさ、画材など、自分が使っていたもの等を思い浮かべながら
女流絵師の一生に心が動いた。
数年ぶりに一気に読み終えた本。

彼女の美しい言葉選びに惹かれて
次に「火定」を手に取った。

「星落ちて、なお」の1.5倍はある分厚い単行本に
一瞬ひるんだが、
「今のこの現状とよく似ているのよ。読んでみて!」と
行きつけのカフェの奥様に勧められて読み始めた。

2017年下半期の直木賞にノミネートされた作品だが
読みながら、この作品がこの時、直木賞をとっていたら
今の世の中で、もう少し気づく人が出たのではないかという気持ちになった。

時は、天平。
天然痘の流行に翻弄される人々を描いている。
直木賞ノミネート時の評価は、なかなか辛辣な意見もあったようだが
私は、今のコロナ禍の状況と照らし合わせながら
1000年以上の時が流れても、人は変わらず不安を煽られると
騙されるのかと、いつの世も変わらない人のこころに
胸が少し痛くなった。

病の描写のおどろおどろしさはあったが
今の世の中の矛盾の方がずっとドロドロしているように感じて
予想に反して、意外とあっさり読むことができた。


翻弄される人々の描写は、まさに「今」であり
改めてこのコロナ禍を別の角度から見つめる一冊になった。

TVもなく、ネットも見ず、ただ本に没頭した2021年の夏。

読み終えて西の空を見上げると
赤い炎のような、美しい夕焼けを見ることができた。
地上に向かって、何かが降りて来たような雲に
少し嬉しくなった夏の終わりの夕暮れ。

うん。きっとすべてうまくいく!!



❦こころのコーディネーター
Office Tina
真山ヒロ(ティナ)

・life designer
・color 
coordinator&therapist
・aroma therapist
writer